
チラシ印刷の価格はどんどん下がっています。理由は、システムの進化によって中間工程(フィルム出力)がなくなったこと。次に、インターネットでの受注サイトが増えたことが考えられます。
しかし、印刷自体の工程、
用紙代
刷版
印刷
加工(折、断裁)
梱包
配送
は以前から変わっていないので、現在の価格競争は印刷会社の経営を圧迫しています。ですから、やたらと安い印刷会社は経営的な危機も予測できるので、継続的にチラシを作成するなら印刷会社の選び方が大切になります。
この記事では、コストを下げて売れるチラシを作成する方法についてお話しします。
1:相見積もりを取る
当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、ずっと長く取引を続けていると、印刷の価格が一定になっていることがあります。これが適正価格かそれ以下だといいのですが、案外と以前の価格の方が高い場合があります。
印刷のコストを削減する方法は定期的に相見積もりを取るということです。
ただし、注意が必要なのは、印刷業界は下請け仕事でつながっていることがあるので、厳しすぎる相見積もりの依頼をすると、印刷業界内で悪評が立つことです。
大量にチラシを発注している場合は、どこの印刷会社の割安な見積もりを提出してきますが、赤字になってまで仕事をする会社は多くはありません。従って、最も安い会社が「できません」と言ってきた場合は、最安値でない印刷会社に発注先を変えなければなりません。
企業によっては、前回価格で予算を決定しているところもあるので、価格を下げすぎると、担当者は自分の首を絞めることになります。
2:サイズを小さくする
サイズを小さくすれば、印刷の価格は下がります。B3よりはB4サイズの方が安くなりますが、掲載したい内容を減らすようでは本末転倒です。
一方でサイズを小さくすることで、同じ予算で配布部数を増やすこともできます。
どのように考えてサイズを決定すればいいのか?
サイズを小さくする時の条件は、伝えたい情報を全部網羅できることが前提です。
例えば、商品の価格を訴求したドラックストアのチラシをB4にするのは効果的ではありません。
↑B3チラシです。
サイズと小さくする時は、コンセプトを変える必要があります。
↑B4チラシです。
一品ごとの価格訴求でなく、全品を安くするというチラシの作り方もある。
こうしたチラシ作りのコンセプトを変えることで、チラシの効果を持続することができます。
B4サイズにすることで、帯になることもあるので、場合によってはコストを削減して、B3サイズよりも効果が上がることがあります。『チラシの効果が上がる帯にしてもらう6つの方法』
さらに、B4よりも小さくすることも可能です。
このチラシは、大手企業により同じサイズ(B4より小さい)で繰り返し折り込まれているので、一定の効果が出ていると予測できます。オファーは常に「成功事例集をプレゼント」となっています。
コンセプトについての考え方は、
商品を紹介するのか、
オファーをメインに紹介するのか、
を検討します。
後者の場合はチラシを小さくすることが可能です。ただし、チラシのサイズを小さくして反応を上げるためには、オファーを強くすることを忘れないでください。
3:用紙を変更する
チラシ印刷の費用において用紙代は大きなウエートを占めます。
印刷の用紙の価格はサイズと種類厚みによって変動します。
<種類>
上質(コピー紙のような紙)
コート紙(つやのある紙)
マット紙(つやのない紙)
一般的には、上質、コート、マットの順に価格は上がります。ただし、輸入紙や在庫過剰な用紙は特別価格になることがあります。
さらに、新聞用に作成されている「更紙」を使うことで印刷のコストを下げることができます。
更紙専用の印刷会社のホームページはこちら
<紙の厚み>
紙の厚みは重量で表現されます。
印刷会社からの見積書に、50㎏、55㎏と書かれていることがありますが、これは原紙1000枚重ねた時の重量です。
50㎏よりも55㎏の紙が厚くなります。
ただし、紙の厚みに関しては、薄くすると高級感が薄れます。同業他社よりも薄い紙はお勧めできません。
そこでおすすめできるのは、
「嵩高紙」と呼ばれる紙です。
薄い(軽い)のだけど、薄く(重く)感じない紙と言えばいいかと思います。製紙メーカーの技術により、書籍用に開発されているようです。
ページ数を増やさずに背表紙(束)を厚くして、しかも重くならないようにという要望をかなえた用紙です。
チラシに転用できる紙もあり、コート紙とマット紙が用意されています。
厚みは、
・48㎏だけど50㎏
・50㎏だけど53㎏
・55㎏だけど58㎏
・58㎏だけど65.5㎏
・62㎏だけど70.5㎏
・64.5kgだけど70.5㎏
・77㎏だけど87㎏
・79㎏だけど87㎏
となりますので、48㎏の価格で50㎏の厚みの紙に印刷をすることができます。
ただし、すべての印刷会社が取り扱っているわけではないので、高機能紙に関しては印刷会社に問い合わせてください。
4:色数を少なくする
カラーよりは2色や1色の方が安くなります。色数を減らすことでチラシのコストを削減することができます。
また、表面をカラーにして裏面を2色(モノクロ)にする方法もあります。
しかし、インターネット印刷会社を使うことで両面をカラーにしても安くなることがあります。
ネット印刷会社は効率化を優先するので、カラーの印刷をし続ける方が手間がかからないという事情もあります。
インターネットで発注できる印刷会社に発注すれば両面がカラーでも、既存の印刷会社よりも格安で印刷をすることができる場合があります。
ただし、営業マンがいることもメリットもありますので、価格だけに左右されないことも大切です。
ネット印刷のメリット・デメリットはこちらの記事を参照してください。
5:まとめて印刷する
印刷物は、大量に作成すると、1枚当たりのコストを削減することができます。
例えば、折込を2回予定している場合は、2回分を一度に印刷すると1枚当たりのコストを削減することができます。その場合、デザインを2案作成して印刷をすれば、2回印刷をするよりもコストを下げることができます。
デメリットは、印刷してしまったら修正ができないことですが、クリエイティブテストを行う場合には同時に印刷をすると価格メリットが出てきます。
ただし、印刷会社によっては別途版代などを請求されることがあるので、事前に確認をしておいてください。
また、2回目までの折り込み期間中に、在庫が発生するので、短期であれば無料で預かってくれる印刷会社に依頼をするとコストを削減することができます。
6:配送料が安い会社を選ぶ
印刷の見積りにはシビアになるけど、配送料には無頓着な会社があります。配送料は、配送方法と運送会社、印刷する地域からの距離で違ってきます。
特に10万部程度の場合、混載便で配送することもできるので、それほどコストがかかっていないこともあります。
見積りは配送料を含めた金額でもらうようにしてください。配送料のチエックが甘いと、印刷物の値引き分が加算されていることがあります。
7:納期を長くする
ネット印刷に限った話ですが、納期日数を長くすると価格が安くなります。スーパーや家電など、ぎりぎりまで価格を決定できない業種を除き、デザインデータの入稿を1日早めることで価格は安くなります。
8:セットで発注する
折込やポスティングをセットで請け負ってくれる印刷会社があります。ボリュームディスカウントで安くなることがあるので交渉をしてみてください。
ただし、折込価格は一律になっていて、印刷会社のマージンは3%程度などで、大幅なディスカウントは難しいこともあります。まれに新聞社系列の印刷会社で折込価格が安くなっていることがありますが、独占禁止棒に振れないのか疑問ではありますが、発注側としては品質が同じであれば選択としては考えてもよいかもしれません。
まとめ
印刷に特化してコストを下げる方法をお伝えしましたが、印刷が紙にインクを付着させる作業だけではありません。印刷営業マンのアドバイスや日ごろからの情報提供があるなら、多少価格が高くてもメリットがあると言えます。
大切なことは、売れるチラシを作成するための印刷会社を選ぶことだと思います。