
広告には企業や商品のイメージを伝えるイメージ広告と販売に直結させる販売広告があります。商品は重要ですが、これからはお客さんが企業に対してどのようなイメージを持っているのかを考える必要があります。
手軽に更新できるホームページ、動画サイトが充実し、自社のコンテンツを配信する仕組みが整った今、企業は自社メディアによるイメージを構築する必要があります。
イメージ作りと販売の両者をセンス良く組み合わせた広告展開を行っているのがユニクロです。
この記事では、ユニクロの広告展開から、企業イメージの作り方を考えます。
※この記事は2018年7月4日に一部加筆しました。
広告の役割とはなにか?
ユニクロの柳井正氏は、著書の中で広告について
「そのお店や企業は何を売っているのかを伝えなければならない。」
と言っています。
塾であれ、製造業であれ、印刷会社であれ、それぞれの会社のホームページでは、会社や仕事の案内は記載されています。しかし、お客さんにとってどのようなメリットがあるのかをきちんと告知できているホームページは多くはありません。
自社が何を売っているのかとは、「お客さんにとってのメリットは何か?」を明確にすることです。
かつて話題になったCMです。インパクトがあっただけに反応も様々でした。
CMの内容は、返品交換に応じるというイメージを訴求したのですが、結果的に企業のイメージを目論見とは違う方向に認知されることになりました。
柳井氏のコメントでも、「このCMは若い人には受けた。しかし、年配の方々には不評で、女性の人権擁護団体からの苦情も入り、3か月で放送中止になった。」
とあります。
このCMにより、インパクトはあったものの「ユニクロ=関西のディカウントセンター」というイメージが定着してしまい、その後のイメージ回復に時間を要することになります。
広告と売上は連動する
ユニクロ大躍進のきっかけをなったのは、フリースの大ヒットです。その後のヒートテックにつながるまでヒット商品を連発しています。
ヒットの要因として欠かせないのが山崎まさよし氏を起用したCMですね(現在、動画は削除になっています)
このCMはユニクロのブランド力を上げたと言われています。
ブラトップのCMは商品の機能性がよく表現できています。
「その商品のどこがどのようにいいのか、価格はいくらなのか?いつから売っているのか?といった実質的な情報に加えてイメージをプラスすることがコマーシャルでは大切。」
という言葉はクリエイターが心に留めておかなければならない言葉です。
現在、ユニクロは店舗の知名度が圧倒的で、消費者に価格イメージが定着しているので、品質のフォーカスしたCMを作成しています。
(価格戦略に関しては後ほどお話ししますが、どんなに名経営者でも誤ることがあります)
他にもユニクロックという企画CMでも企業のイメージを洗練させています。
一方で、CMと同様にユニクロが力を入れているのが新聞の折り込みチラシです。
「チラシはお客さんへのラブレター」という通り、毎週金曜日に折り込まれます。
柳井氏はチラシの位置づけとして「商品や企業イメージを高めようとする狙いはない。いつ、どんな商品がいくらで買えるのか?という基本情報を掲載する。」と語っています。
基本のレイアウトは固定されており、B3、B4ともに表面の左に週末の目玉商品を掲載し、家族で買い物に出かけたくなるような品揃えがなされています。
こうした戦略は、大企業だけでなく中小企業も参考にしたいと思います。
チラシを見た人はホームページにやってきます。そこに、どのような企業イメージを訴求するのか、チラシにあるメッセージを補完する情報が掲載されているのか?ここはチエックする必要があります。
まとめ
ユニクロは、低価格路線から脱皮を狙っているようですが、定着してしまった企業ブランドを変えていくというのは難しいようです。価格を上げたことによる客離れは、CMだけで補うことができなかったと指摘するのは結果論です。
他社が同機能の商品を低価格で販売を始めたこともあり、ファストファッションの競争は激化しています。
一度定着したイメージ、特に品ぞろえと価格帯を変更するのは、かなり難易度が高いと言えます。プライシングに関しては細心の注意が必要だということを学びました。
今後の展開としては、ユニクロブランドは従来の価格に戻し、さらにハイクラスの別ブランドの確立などが必要かと考えます。
あくまで一コンサルタントの意見ですから、今後の事業展開に注目したいと思います。