
ほとんどの企業の売上は、何度も購入してくれるリピート客で賄われています。
チラシ作りの担当者は、この揺るがせない事実を忘れてはいけません。
チラシの目的は新規で開拓した顧客にファンになってもらうようなシナリオの第一歩なのです。
この記事では、ファン客=信者⇒儲かる(当て字ですが)の法則についてお話ししたいと思います。
あなたは「卓越の戦略」を使っているだろうか?
ジェイ・エイブラハムの著書「ハイパワーマーケティング」に「卓越の戦略」が紹介されています。
そこで紹介されている話は、自転車を買いに来た親子と店主のやり取りです。
父親は、親心として息子に高級な自転車を買ってやりたいと考えています。
しかし、本当に父親の求めていることは、高級な自転車を買い与えたという満足感ではなく、子どもが自転車に乗れるようになるまで一緒に過ごす時間なのです。
親子のやり取りから父親の求めていることを理解した店主は、高級な自転車を買おうとする父親に「安い自転車にしたほうがいい」と提案します。
お子さんは自転車の練習中に何度も転ぶ。そのたびに自転車が痛みます。だから、練習用にまずはお手頃な値段の自転車がいいと、乗りやすい自転車をすすめます。
父親は、店主のアドバイスに従い、提案された自転車を買います。
この親子が自転車の練習をしてうまく乗れるようになった時、どこの自転車屋さんで、どの自転車を買うでしょうか?
父親にとって、店主は売り手ではなくアドバイザーになったのです。
ジェイの定義によると、
顧客⇒商品やサービスを購入する人
クライアント⇒他の人の保護下にある人
となります。
つまり、ファン客を創るとは、顧客をクライアントにするということになるのです。
そのためには、自分がしたいことよりも、相手がしてほしいことに目を向け、実現していくことが大切です。
ジェイ・エイブラハムは、これを「卓越の戦略」と呼んでいます。
1:顧客は商品を通して何を求めているのかを知る
チラシデザインの制作をしていると、商品が安ければ売れるというものではないことをよくご存じでしょう。
だから商品のよさをアピールするのだけど、この時に忘れてはいけないのは、商品を購入することでお客さんは何を求めているのかということです。
よく言われることですが、
人の購入動機は、
よくなりたい
悪くなりたくない
ということです。
もはや、チラシでは、過剰な演出や脅しは有効ではありません。
大切なことが顧客の共感であるなら、まずはチラシデザインの制作者であるあなたが顧客が望む未来に共感する必要があるのです。
2:顧客を守ってあげる
人間、誰でも損をするのは嫌です。
だから買い物には慎重になるし、これまで効果のあったキャッチコピーも真似をされることが増えると、顧客は「またか」と感じます。
チラシデザインにおいて、「どこかで見たことがある」というのは、あまりよい傾向ではありません。
チラシで訴求する内容は、1で理解した顧客を期待する未来が手に入らない状況から守ってあげるということです。
自転車屋さんの店主は、高価な自転車を壊して嘆く親子を守ってあげたと言えます。
そこで、しめしめと高い自転車を売っていたとしたら、今度は同じ自転車を安く売っている店で買ってしまうかもしれません。
お客さんをどうやってリスクから守ってあげることができるでしょうか?
脅しのキャッチコピーと顧客をリスクから救うメッセージは、似ているが異質なものなのです。
3:商品ではなく、顧客に惚れる
自分が売っている商品が必ずしも顧客にとって最高のものでないことがあります。
その場合に、あなたはどうしているでしょうか?
ファンを増やしている営業マンは、他の商品を案内してあげることもあります。
チラシの場合は、他の商品を案内するわけにはいかないので、「こんな人にぴったりです。」「こんな人には合わないかもしれません」とメリットとデメリットを伝えることが有効になるのです。
チラシのデザインでは、「ターゲット」という言葉が使われますが、
本質的には、
最も困っていることは誰か?
最も救ってあげられる人は誰か?
と考えるのが正しいと言えます。
チラシデザインの担当者は、商品に惚れるのではなく、顧客に惚れなければなりません。
そして、顧客の悩みを解決したり、未来を提供した商品に惚れるのです。お客さんの悩みについてはこちらの記事を参考にしてください。『キャッチコピーの効果を倍増させるお客さんの5ステージの悩みとは?』
4:ファン客の幸せに責任を持つ
何度も買ってくれるファン客とは付き合いも長くなります。
ただし、一度でもあなたに騙されたと思ったら、ファン客は二度と戻ってきてくれません。
ミスも同様です。
ファン客をがっかりさせてはいけません。
企業は、チラシを作ることが目的ではなく、ファン客を増やすことが目的なので、チラシデザインの担当者は、電話の応対部署、製造、お届けパッケージの詳細まで知っておかなければなりません。
企業は、末永くお付き合いをするファン客を幸せにする役目を持っていることを自覚しておきたいものです。
5:ファン客を友人だと思って付き合う
卓越の戦略を日常の仕事に活かすための最も簡単な方法は、すべてのファン客を自分の身内だろ思って付き合うことです。
ファン客は単なる数字データではありません。
たくさんの買い物をしてくれるファン客は、あなたの会社により強い思いを持っています。
ファン客とは友人として付き合おう。フレンドリーにするという意味ではありません。
友達があなたから買いたいと言ってきた時に、どのように対応するのでしょう?
その答えと同じ対応をするということだ。こうした企業の姿勢は、チラシの紙面にも表れてきます。
すべての顧客を友達として考えることで、あなたの会社は信頼される友人となるのです。
まとめ
チラシは、「当てた はずした」だけで評価するものではありません。
仮に、想定したレスポンスを得られなかったとしても、連絡をくれた顧客をどれだけ強いファンのお客さんにしていけるのか。チラシデザインは、長い付き合いのストーリーの入り口になるのです。
なぜなら、どんなキャッチコピーよりも、圧倒的な数のファン客からのメッセージや喜びの写真以上に強く価値を伝えることができる素材はないからです。