あなたは、コンセプトの導き方をご存じでしょうか?
企業の戦略構築において、コンセプトが検討されます。
新商品の開発においてもコンセプトが重視されます。
しかし、世の中に優れたコンセプトは多くはありません。
理由はコンセプトを考える手順が明確化されていないからです。
それだけではありません。
そもそもコンセプトとは一体何か?
曖昧な言葉でもあるので、意味を明確にとらえている人も多くはありません。
コンセプトの意味をどう捉えるかで、導き出されるコンセプトは違ってきてしまいます。
コンセプトの意味を曖昧にしたままコンセプトを考えるのは、問題が不明確なまま回答を考えるのと同じです。
コンセプトに意味を明確化し、強いコンセプトを作ることで商品は売れて、企業は大きく成長します。
この記事ではコンセプトを考えるための6つの手順を紹介します。
コンセプトを考えるためには、「何のコンセプトを考えるのか」を明確にする。
当然ですが、コンセプトを考えるにあたっては、考える対象を明確にする必要があります。
コンセプトとは、「概念」と訳されます。
概念とは、事業の形態に対して思考の基本となるものということになります。
こうした禅問答のような思考を繰り返すと、曖昧さがさらに大きくなるので、ここでは概念とは「事象の持つ意味」ということにします。
コンセプトとは、「事象の意味」と捉えます。
企業のコンセプトは、企業の意味であり、
商品コンセプトは、商品の意味となります。
その意味をお客さんか理解し、魅力を感じることで、コンセプトはコンセプトになるのです。
世の中では、企業コンセプトと商品コンセプトが混同されます。
複数の事業を展開する大企業では、企業のコンセプト、事業のコンセプト、商品のコンセプトが必要になります。
サントリーという会社があります。今では、複数の事業を展開する大企業ですが、創業当初の企業コンセプトは、
「日本人の味覚に合った洋酒を作り、日本の洋酒文化を拓きたい」
というものです。
最初のヒット商品になった「赤玉ポートワイン」のコンセプトは「日本人の味覚に合った日本のワイン」
となります。
このコンセプトを、おいしいだけでなく、滋養強壮などの効能を、当時としては斬新なヌードポスターを使って広告宣伝を行うことで、大ヒット商品になりました。
コンセプトを考えるにあたっては、何のコンセプトを考えるのかを明確にすることが大切です。
単品を扱う会社や専業の製造業などは「商品コンセプト=企業コンセプト」ともなるので、強いコンセプトは商品の売上を伸ばし、企業を成長させるのです。
強いコンセプトと弱いコンセプトの違いは?
世の中には、強いコンセプトと弱いコンセプトがあります。
ここでは、リフォーム会社を例にして強いコンセプトと弱いコンセプトについて考えてみます。
リフォーム会社は、大きな資金が必要なく、難しい資格取得も不要なので、独立しやすい業種だと言えます。結果、競争が厳しくなっています。競争を価格に持ち込むと利益が出にくくなります。ですから、どのようなコンセプトで戦略を立てるのかがとても大切です。
例えば、
A社:プロの技術者が丁寧な仕事を行います。
B社:女性のインテリアコーディネーターがプランを提案します。
C社:和室専門のリフォームを行います。
という会社があったとします。
どのコンセプトが強いと思いますか?
A社のプロの技術者が丁寧な仕事をするのは、真実かもしれませんが、お客さんにとっては言われたからそのまま信じることができる内容ではありません。
B社の女性のインテリアコーディネーターは他社との差別化はできているかもしれませんが、お客さんがどの程度魅力を感じるのかが不明です。
C社の和室専門のリフォームは明確ですが、どのくらいのニーズがあるのかがわかりません。商品を絞ることで、営業地域・営業範囲を考え直す必要があります。
という具合に、圧倒的に強いというコンセプトにはなり得ていません。
弱いコンセプトとは
魅力的でない。
他社との違いがわからない。
ということです。
強いコンセプトは、次の3つの要素を持っておく必要があるのです。
ひと言で言うとどうなるか?(提案)
顧客対象にとって魅力的か?(魅力)
他社を凌駕しているか?(大きな魅力)
つまり、コンセプトとは、「顧客にとって他にはない魅力的な提案」を考えるということになります。魅力的な提案により、お客さんの価値観を変えるほどのインパクトがあれば、同業他社に差をつけることができます。
リフォーム業界において、非常に強いコンセプトは住友不動産の「新築そっくりさん」だと言えます。
ひと言で、「建て替えしないで新築のようになる」という提案内容が明確に分かります。価格は定額制であり、建て替えに比べてメリットが大きいのでお客さんにとって魅力的です。また、住友不動産のノウハウがあれなこその商品なので大手以外のライバルが参入することができません。
強いコンセプトを作る6つの手順
では、ここからは強いコンセプトを作る6つの手順を紹介します。
手順1:業界の課題を洗い出す
最初にやることは業界の常識を疑い、顧客の不安と不満を洗い出すことです。
リフォームの場合、
・工事がきちんとなされるのか?
・イメージ通りに仕上がるのか?
・価格は明朗か?
・工期はどうなのか?
・マナーは悪くないのか?
という具合にリサーチをすることができます。
業界の課題として、
・営業マンが強引に売る
・仕様が曖昧なため相見積もりでも曖昧な金額しか出せず、追加を請求する。
ということがあるとします。
手順2:顧客ニーズを考える
次に、その中でお客さんが最も気にする点は何かと考えます。
顧客ニーズは、大きく言えば、
安く買いたいのか、
よいものを買いたいのか
というものに分かれます。価格競争力がある場合は前者のお客さんをターゲットに、品質に自信がある場合は、後者のお客さんをターゲットとして考えます。
ここでは、前者のお客さんをターゲットに、ニーズを価格の明朗性だと仮定します。
手順3:自社の強みを洗い出す
顧客ニーズを想定したら、自社の強みを洗い出し、どのように顧客ニーズを満たすことができるのかを考えます。
価格を明朗にするために、何ができるのか?
例えば、
定額制のパッケージを作る
専門家が見積もりを出すので、追加料金を請求しない
職人のレベルが高いので工期が早い
という具合に考えます。
その際は、
人を軸にするか⇒スタッフの専門性
モノを軸にするか⇒仕入れ方法
技術を軸にするか⇒職人の技術
サービスを軸にするか⇒仕上がりイメージを事前に出す
スピードを軸にするか⇒工期
という軸について考えればコンセプトが出やすくなります。
その上で、
魅力的な対応力か魅力的なパッケージを考えます。
ここでは、スタッフの専門性が高いので、詳細な見積もりを出して、万が一の時も追加料金はなしというコンセプトを仮設定します。
手順4:コンセプトを社内浸透させる
コンセプトの仮案が決まれば、社内に仮案を浸透させます。インターブランディングと言われる内容ですが、外に発信するよりも大切です。
お客様への対応として、
・ヒアリングの徹底
・見積書の見直し
・提案書類の見直し
・担当者全員に何らかの資格を取得させる(建築士、増改築相談員、マンションリフォームマネージャー、インテリアコーディネーター、キッチンスペシャリストなど)
を行います。
たいていの場合は、仕事量が増えるのでスタッフは反発します。しかし、外向けにどんなにいいコンセプトを提案しても実態が伴っていなければ逆効果です。まずは社内です。
手順5:外向けのコンセプトになるキャッチフレーズを考える
社内に浸透させることができたら、コンセプトを表すキャッチフレーズを考えます。
ここでは、
専門資格者による明朗会計のリフォーム工事
「打合せイメージ通りに仕上がる家」
とでもしましょうか。
ここで大切なことは、コンセプトがお客さんにとって「他にはない魅力的な提案」になっているかどうかです。
弱いコンセプトでしかない場合は、手順2に戻り考え直します。
手順6:マーケティングツールを作成する
コンセプトが決まれば、チラシやホームページを作成します。その際には、同業他社がどんなマーケティングを行っているのかをリサーチします。
価格が明朗だとしても、他社よりも高ければお客さんは振り向いてくれません。圧倒的に勝てるコンセプトになるまで、粘り強く考えます。
まとめ
コンセプトというのは、その商品はもとより、中小企業の場合、成長に大きく影響を及ぼします。簡単に考えることができずものだという先入観は捨てて、全精力をつぎ込んで考えていただきたいと思います。
コンセプトとは、魅力的な提案により、お客さんの価値観を変えてしまうインパクトを持つもだという意識を忘れないでください。ぜひ、ビックインパクトのあるコンセプトをお考えください。
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